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初恋 6

Author: 煉彩
last update Last Updated: 2026-01-08 22:42:11

「ええっ!やったぁぁぁ!!」

 私は喜びの余り、一人叫ぶ。

 黒崎さんからの一通にこんなにドキドキしたり、嬉しくなる。恋愛ってみんなこんな気持ちになるのかな。

 スマホをタップし、返事を打ち込む。

<はい、大丈夫です。よろしくお願いします>

 今回はすぐ黒崎さんから返信が届いた。

<良かったです。詳細はまた連絡しますね>

 黒崎さんとご飯に行ける、嬉しすぎて夕食のことをすっかり忘れてしまい、焼いていたハンバーグを焦がしてしまった。

 黒崎さんを優先に考えちゃったけれど、土曜日はバイトが入っていたことを思い出す。

 一人代わってくれると言ってくれた子がいて、これで正々堂々とご飯に行ける。

 次の土曜日が待ち遠しい。

 木曜日を迎えた。

 明後日は、ついに黒崎さんとご飯に行ける日だ。

 そう考えると、何気ない日常生活が明るくなる。

 黒崎さんからの連絡はあまり来ないけれど、土曜日の十一時に駅前で待ち合わせをしている。

 食事場所は黒崎さんが考えてくれると返信してくれた。

「いいな。ついに明後日デートじゃん」

 表情が明るい私を見て、優菜がツッコんできた。

「そうなんだ。すごく緊張する。男の人と二人でご飯行くの、初めてなんだ」

「いいじゃん、いいじゃん。楽しんできなよ。どんな人なんだろうね!あ、でも簡単に身体は許しちゃダメだよ」

「そ、それはわかってる!」

 優奈は彼氏がいるから、経験済みなんだろうな。

 そんなことを言われても実感が湧かないよ。

 優菜と別れ、バイト先に向かう。

「お疲れ様です」

 そう声をかけながら、従業員専用口からカフェの中に入った。

「東条ちゃん。今日、あのお客さん来てるから、近くに行かなくていいからね。何か言われても、違うスタッフが伺うって断って」

 店長が、川口さんが来ていると教えてくれた。

 先日渡されたメモの内容には、お客さんの名前であろう川口という苗字、電話番号、メールアドレスが記入されていて、さすがに店長にも相談している。

 今日、来てるんだ。

 嫌な予感がしたけれど、店長をはじめスタッフの仲間が気を遣ってくれ、川口さんと接触することはなかった。

 しかし今日に限って、川口さん《おきゃくさん》は、帰らなかった。

 混雑時は時間制限を設けるチェーン店とは違い、うちは時間制限のないお店だ。

 長時間に渡り過ごしていくお客様も多い。

 結局、閉店時間にならないと帰らなかった。

 バイトが終わり、帰る際

「東条ちゃん、気をつけて帰ってね。まだあのお客さん、近くにいるかもしれないから。もしなんか感じたら、すぐ連絡して」

 店長から念を押された。

 川口さんは閉店まで居たことがない。

 考えすぎかもしれないけれど、近くで待ち伏せをしている可能性もある。

「はい」

 返事をして、従業員専用口から帰る。

 もしもの時のことを考え、スマホをポケットに入れて、すぐ出せるようにしていた。

 駅へ向かって歩く。

 その時、前方から川口さんが現れた。ここは店通りの裏道、人通りは少ない。

 なんでいるの? 私のこと、待ってたの?

 私がなんて声をかけようか困っていると

「東条ちゃん。なんで、僕に連絡をくれないの?連絡先渡したのに。ずっと待ってたんだよ」

 川口さんは怒っている様子だった。

 恐い。どうしよう、店長に連絡をして助けに来てもらおう。

 そう思い、ポケットにあるスマホを取り出す。

「おい、人が話しているのにやめろよ!スマホをしまえ」

 怒鳴られた。

 川口さんの様子がおかしい。

 もう一度スマホを見てしまったらさらに逆上をし、何かされかねない。

 でも、助けを呼ばなきゃ。

 私はとっさにスマホをポケットにしまうフリをし、感覚で覚えているトークアプリの場所を押し、トーク履歴が一番上にあるはずであろう、優菜の画面の通話ボタンを押した。

 実際にきちんと画面を見ながら操作しているわけではないため、繋がったかどうかわからない。

 お願い、繋がって!

 優菜じゃなくてもいいから、誰かにこの状況をわかってほしい。

 繋がっていることを祈りながら、こちらの音声がわかるよう音量は最大にした。

「すみません。お客様と個人的なやり取りはお店で禁止をされているため、できません」

 そう伝え、川口さんのいない方向へ走ろうとした。

「おい、待て!」

 川口さんは私を追いかけきた。

 私はもともと運動が苦手だ。特に走ることが遅い。

 相手は五十代くらいの男性だが、すぐに追いつかれ、リュックを掴まれた。

 反動で私は転倒をしてしまった。

「キャッ!」

 季節は夏だったため、服装も軽装。

 転倒し、アスファルトへ接触したところからは血が出ているような痛みがする。

 立ち上がろうとすると、川口さんが目の前にいた。

 再度、逃げようとすると

「逃げたら、どうなるかわかるよね?」

 そう言って彼は、ナイフと思われるようなものを私の顔の前にチラつかせた。

 私、ここで殺されちゃうの?

 恐怖で身体が動かない。

「僕は東条ちゃんと話がしたいんだ。傷をつけるつもりはないよ。さあ、立って。公園へ行って二人でゆっくり話をしよう」

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